「専業トレーダーになりたい」
以前も書きましたが、この手の相談はよく受けます。
たまたま今日このテーマについて考えることがあったので、ブログに書き出しておきたいと思います。
「明日会社を辞めたらみんな専業トレーダーですよー」なんて言わず、今回はしっかり書いておきます。
以前も「専業トレーダーになるには収益(年収)がどれくらい必要か」というテーマで書いたような気がしますが、そのときとは数字などが若干違っているかもしれません。
結論から書きますが、年間の利益が約2400万円。
これくらいを目標額にするのが最低ラインというか、最適というか。
社会的地位や信用面、経費の算入などを考慮して、法人化したイメージです。
法人税等を支払ったり、健康保険が年間50万円以上支払ったり、国民年金や確定拠出年金などの年金、住民税などがかなり発生します。
サラリーマン時代のように退職金も無いので、その分も法人に留保しておくことも考えておきます。
これらの最低限必要な支払いを考えた上で、損する年もあったりするリスク分などを考えると年間2400万円ぐらいはないと厳しいかなという感じです。
年間2400万円の利益があるとそこそこ裕福な生活になりそうな気がしますが、実際はそうでもありません。
年間利益が2400万円ということは、月間利益で200万円。
月間200万円の利益から、自分に対して役員報酬を80万円ぐらい支払って、そこから健康保険や年金、個人の所得税・住民税などを納めることになります(所得税や住民税はある程度法人側から支払うこともできます)。
残りの120万円は法人に留保しておき、法人税支払いに充当したり、FX業者や証券会社への証拠金にしたり、損したときでも役員報酬が貰えるようにプールしておいたりします。パソコンの購入や細かい経費もここから支払います。
細かいことは他にも多々ありますが、仮に年間2400万円稼げても給料は月80万円とか、せいぜい100万円ぐらいになると思います。
法人にもある程度資金を残しておかないと、不測の事態に全く対応できません。
年間2400万円ということは、平たく考えると月間200万円の利益が必要になりますよね。
1ヶ月の営業日がだいたい20日間と考えると、1日平均約10万円の利益が必要になるというイメージです。
一度たりとも損しなかったり、全営業日が体調万全で、用事で休むことも無いことが前提の計算で「1日10万円」ですから、実際は20万円や30万円稼ぐ日もあっての年間利益2400万円です。
1日平均10万円稼ごうと思ったら、例えばドル円50ロットでやる場合は1日20pips取るイメージです。もちろん100ロットなら10pips計算になりますが、じゃあ1000ロットで1pipsでいいのかといえばそうじゃないですよね。逆に1日1ロットで1000pips取るのも違いますよね。概ね適切なロット数と目標獲得pipsは絞られてきます。
※これらはデイトレードでやる場合をイメージしています
専業トレーダーになりたい人は、これらの皮算用が全てクリアできて、年間2400万円が最低ラインの目標かなと。
個人的な感覚ですが、年間5000万円や1億円稼いだ年でも、「安心感」が増すだけで生活レベルはほとんど変わりません。「安心感」というのは、「これで仮に来年の利益がゼロでも1年や2年は生き延びられるな」という感じの安心感です。
ちょっと予定よりも稼いだぐらいで「ワハハ。マンション買うぞー」とか、「ベンツ買うぞー」となるタイプの人は、概ねその後は大損したり退場する傾向に見えます。
これも前に書きましたが、2400万円の稼ぎ方も結構重要で、
良い例
・1月~12月まで毎月+200万円
・安定はしていないが月間マイナスが無い年間2400万円
・最初にバババーっと稼いでその後はほとんどやらずに年間2400万円
こんな感じだと良いんですが、
悪い例
・1月は+800万円、2月は▲500万円、3月は+400万円、4月は▲800万円・・・みたいな感じで年間+2400万円
結果的に同じ年間利益2400万円に見えますが、こういうボコボコした損益の人はトレード自体に大きな波があるので、私の知る限りではそのうち安定しなくなって退場していく人が多い印象です。
例えば、自信があるときは300ロットでエントリーして、自信が無いときは10ロットで入る・・みたいなタイプも結局安定しませんね。自信があるならいつものロットでしっかり取ればいいし、自信が無いならエントリーするべきじゃないと思います。1回のロットをだいたい決めておいて、自信があるときは倍プッシュまでにするとか、ブレの無いルールを作っておいた方がいいと思います。
ここまで書いたことは、冒頭に書いたような「専業トレーダーになりたい」という人に対するアドバイス的なことで書いています。
これも過去何度も書きましたが、私個人の場合は全く違っていて、普段はポチポチやっていても、どこかで資産曲線をバイーンさせて、ある程度稼いだら引退するという考え方です。「専業トレーダーとして生き残る」といった発想は全くありません。早く稼いで辞めたいというモチベーションでやっています。
ただしこれは人にオススメできる考え方じゃないのでアドバイスとしては基本的に使いません。
毎回セコいと笑われますが、副収入が5万円でも10万円でもあるに越したことはないので、その辺もいろいろ考えておいた方がいいですよ。また、退場した後のことを考えて時間があるときに資格の勉強をするとか、何かスキルアップしておいた方がいいと思います。これらもいろんな専業トレーダーさんを見てきて感じることです。
本当は基本的に専業トレーダーなんてオススメはしないんですよ。会社員でもやりがいのある仕事で、部下や上司とワイワイしながら仕事をして、趣味を楽しみながら幸せな家庭があればそれで十分じゃないですか。私の場合は幸せな家庭ではなくなって、結果的に会社にも行けなくなって仕方なくこんな生活をしていますから。
最後に私の知り合いの例ですが、◯億円儲けた年があったり、7億損したーとか言ってる年があったりしながらも、最後は自己最高金額を稼いで引退しました。住居用のタワーマンションと収益用の不動産を買いまくって、ある企業を買収して投資家として悠々と暮らしているようです。この例を見ると、結局何が正しいのかさっぱりわからなくなりますね。
これらのことが全て正しいというわけではありませんが、もし専業トレーダーになろうと考えている人の目安になればと思います。
何度も書きますが、例えひととき10億円稼いでも結局元に戻っちゃったら全く意味がありません。どこかでスパッと引退するか、大半の資金を出金してこその勝利です。